苔をたずねて三千里

苔の写真を撮り、海外文学を読んでいます。

book SF 読書部

読書部活動第34回ジーン・ウルフ『ピース』

投稿日:


※以下の記事はまとまっていないものの、ジーン・ウルフ『ピース』のネタバレを存分に含みます。未読の方はご注意ください。

今回の参加者は久しぶりに2桁の13人。あまり数が多いと各地で話が進んで全体に共有されない可能性があるので、このくらいが限界かと思う。

大きく分けて、解説と同じ「オールデンは幽霊」説と「未来の記憶」説、そして新説「オールデンはロン・ゴールド(または他の誰か)に操られて語らされている説」が出た。最後のはさすがSF読みという感じ。そして最初の感想は、

  • 手の込んだリンボ
  • オリヴィアの死の真相がわからないと、物語としていい形にならない
  • 4章でネタバレ的な流れに
  • 略称などが使われて名前が分かりにくい
  • 話中話と現実との関連をどこまで結びつけるか?
  • NW-SFから出ていた『ザ・ベスト・フロム・オービット』に同じ街を舞台にした「取り替え子」収録→今度出るジーン・ウルフの短篇集に収録されるはず
  • オールデンにとって幸せだった時代がジュリアスのせいで変わってしまった
  • 語られる人物は、実際の人物にオールデンのフィルターがかかっているはず(特にオリヴィア)
  • コペンハーゲン解釈
  • 「我々の実験は終わり」から他にも被験者がいるという解釈→オールデンは操られている
  • ロイス・アーバスノットが勤める図書館は元々オールデンの家
  • 自分のいる世界と想像している世界のちがいが平穏な文章で描かれる
  • 時間が飛ぶことで物語の断片を味わうように読んだ
  • ハナの日記を捏造したと読めるように、ピース自体が捏造されたもの
  • すべての真実が確定できないのでは?
  • 最初は整合性がある。錬金術士から破綻していく
  • オリヴィア叔母とウィアは一緒に暮らしていて、一緒に死んだ説←秘書バークヘッドと連絡とれない=名前は知っていても顔は知らない
  • この人もうここにいるんだ、的発見。何度読んでも新しい発見がある
  • ラストでインターフォンからオリヴィア叔母の声が聴こえるということ←叔母とインターフォンで話した経験はないはず

などなど。毎回のことながら鋭い意見ばかり。なお、実際の読書会の内容は記録をとっている暇がないので記憶頼り。中でもおもしろかったのが、オリヴィアが太っていったことは薬剤師と結婚してからで、ティリーから受け継いだ秘術をなんらかの形でジュリアスがオリヴィアに試したのではないか、というもの。これはこわい。

毎回運営する上で悩むのが、基本的なあらすじをどこまでおさらいするのか。特に今回のように物語自体の解釈が複数ありうる場合に、あらすじを規定してしまうことは、出席者の読み方を揃えてしまうことにならないかという不安がある。そのため、毎回あらすじについては置いておいて、出席者の解釈、良かったところや疑問点などを自由に言い合うことを優先している。今回は疑問点を多く語る一方で、いつもにまして散漫さが目立ったかもしれない。再読して『ピース』のあらすじを踏まえている人にとっては把握する余裕があったかもしれないが、一読だけだったり全体像を捕まえきれない人にとって、「そんなところあったっけ?」のオンパレードにならなかったか、ちょっと不安だ。

ともあれ、参加者なりに発見があったと信じたい。次回は7/20(日)、課題図書は未定です。

ad02

ad01




ad02

ad01




-book, SF, 読書部
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

no image

歯止め

いま読んでいる『スターリン―赤い皇帝と廷臣たち〈上〉』では、スターリンと彼の取り巻きたちがまるで部活のように政治に関わって殺し殺されする様子が語られる。彼が農民を敵視して数百万人を餓死に追い込んだ理由 …

no image

本棚の上でボルヘスとガルシア=マルケスは何人踊れるか

某氏と話していて「○○のボルヘスにろくなやつはいねえ!」「でもチベットのボルヘスはいいよね!」と盛り上がった際、はて、他に○○のボルヘスや○○のガルシア=マルケスと呼ばれる人物はどれくらいいるのだろう …

no image

ジーン・ウルフ『ピース』人物相関図その1

とりあえず第1章だけ。しかも立ち位置が分からないマーガレット・ローンは入っていない。 Peace03(PDF) マインドマップでは表示する範囲が広くなりすぎて、2章・3章と進めていくには限界があるかも …

『渡辺啓助集 地獄横丁』(ちくま文庫) その1

古書価が高くなり入手が難しい「怪奇探偵小説名作選」の2。数年前の正月に数冊抜けただけで売られていたのを見て、勢いで買ったが放置していた。最近になって寝る前などに少しずつ読み進めている。渡辺啓助の素性に …

フェルナンド・バジェホ『崖っぷち (創造するラテンアメリカ)』(松籟社)

あとがきでも触れられているとおり、7年前くらいに読んだホルヘ・フランコ『ロサリオの鋏』に似た、激情型内向吐露小説。『ロサリオの鋏』でも舞台となったコロンビアのメデジンは麻薬が街を支配している。兄弟20 …