恩田陸『小説以外』(新潮社)
この本に限らず、本を好きな人が本について「ひっそり」語る本が好きだ。「ひっそり」というのは語弊があるかもしれないけれど、しょひょーしょひょーした固い書き方(もちろんそれはそれでとても参考になるけれども)よりも、個人的な嗜好をやんわり交えて、世間では評価されてはいないかもしれないけれど、自分はこの本が好きなんですっ、という気持ちが出ている文章が好き。たどったらおそらく「タクティクス/RPGマガジン」の書評や『摩由璃の本棚』がルーツになるんだろう。
恩田陸の小説以外の文章にはこれで初めて触れたわけだけど、思ったより固い文章で驚いた。わたしは小説を書こうと思ったことがほとんどないけれども、恩田陸にとっては逆で、小説以外の文章を書くことや自分を出すことにやや抵抗があるようす。それでもつづられる文章から小説(やビール)を愛する姿勢が見えて、こちらも「もっと楽しくがんばって本読もう」って気持ちになる。
一気にがーっと読み切るんじゃなくて、なんとなく小説読む気にならないな、って時に手に取りたい本。特に今回の収穫はミステリの教養をつけようって気になったこと。他人の死なんてどうでもいーよなんて無頼派ぶってたけど、自分のテーマの一つ「楽しめることは多い方が楽しい」に矛盾するではないかって気づかされた。スタージョンでもミステリぽいと言われる作品も好きだし、エルモア・レナードのドライな感じが好きなんだから、普通のミステリも多少の慣れで好きになれるかもしれない。というわけで今は『黒後家蜘蛛の会』を読んでるけど……、やっぱりアシモフは小説以外の愚痴が楽しいやね。

