志村志保子『女の子の食卓 1』(りぼんマスコットコミックス)
『ミシンとナイフ』や『ブザーシグナルゴーホーム』に比べると短い話のオムニバス。「運動会の五目いなり」や「えっちゃんのママのバジリコ・スパ」が好きというといい人ぽいが、もちろん「お土産のディジョン・マスタード」がこの巻の白眉というのが本心。
相変わらず表情のない表情というか、人間よりも人形の表情に近い絵が印象的。食べ物という生々しいものと無表情な少女たちが対比になっていておもしろい。正面を見据える扉絵からも感じることだけど、今回は少女のおままごとという雰囲気をわざと出しているのかもしれない。おままごとは、食べ物を摂取する必要のない人形がものを食べ生活を営むので、実際の人間ではない距離感を感じて遊びになるんだと思う。それは『女の子の食卓』にも当てはまり、普通の漫画よりもその距離感がある。
この人の絵ほど、汗とか顔色が変わったりとか似合わないのはそうそうない。また、鼻をとがった線じゃなくて、二つの穴として描くのも少女漫画としては珍しいんじゃないかな。パーツはリアルなのに、表情が乏しいから人形ぽく見えるのかもしれない。そして、今回のオムニバスは食べ物を囲む人々のにぎやかさがメインなので、これまでの作品に流れていた夜のひっそりとした空気みたいなところから遠い。そのよしあしはともかく、志村志保子は変わったという読後感でありました。










