雪舟からポロックまで
ブリヂストン美術館のお宝一気開陳の展覧会は、盆と正月がいっしょに来たような圧倒されまくりの豪華さでした。
800円と良心的なお値段でチケットを買ったら、右手のロッカーに荷物を放り込む。結構な人いきれで数の少ないロッカーはほとんどうまっていた。でも、できれば展覧会は手ぶらで見ましょうよ。荷物をぶらさげている分、他の人が見られるスペースが狭くなるのですから。
2Fにあがるとまずは彫像がおでむかえ。大理石で作られたロダンの「立てるフォーネス」が印象的。像の丸みやたたずむ印象がしっくりなじむ。その後は順路なんて気にせず人と逆行しつつ、空いているところにさらりとすべりこみながら見物。「和」ゾーンではこの展覧会の目玉になっている雪舟の「四季山水図」に人だかりが。個人的には荻茶碗や六角の青磁にうっとりしてました。青磁はよく見かける薄めで青みがかった程度の色ではなく、濃い青と緑は沼に沈んだ竹を見るようで、特に首がすらっと長いところは竹が日々静かにのびていくような息吹すら感じられるほどです。
古代コレクションの部屋にはシュメールやエジプトのレリーフや像が並んでいますが、ここで驚いたのはギリシアのアッティカ時代コレクション。「アッティカってこんなにおもしろい絵を描いてたのか」という驚きと無骨な壺の形状によって、不思議な世界が広がります。あまりいい画像が見つからなかったのですが、こういう感じ。精巧に描かれた人物は黒一色で描かれて、茶色の壺が背景となるさまは影絵のよう。
新しい絵ではモローの「化粧」、ルドン「供物」「神秘の語らい」、ルオー「郊外のキリスト」「ピエロ」、クールベ「雪の中を駆ける鹿」(躍動する鹿の肉体はマッチョの域!)、そしてセザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」がすばらしい。モローとルドンは展示されていると思わなかったのでうれしい驚きで、小さめの絵にたゆたう幻想性を堪能。ルオーは力強いのにどこかもの悲しさを帯びていました。セザンヌの中でもこの絵だけは格別で、緑の山と同じような色の空を見上げる構図で、目の悪いわたしなどは、山をほてほてと登ってきて目的地のシャトーノワールまでもう一息というところでメガネを外して汗をぬぐったときの視界はきっとこんなぼんやりとした風景かもしれない、と思うのです。
会期は6/4までだそうで、目的なくふらっと入って意外な発見ができる展覧会です。展覧会自体にコンセプトなどを求める向きにはあまりいい顔をされないかもしれませんが、力を抜いて宝の山を見物するつもりでどうぞ。



