« 対決 巨匠たちの日本美術 | メイン | 2008年上半期ベスト5 »

青春のロシア・アバンギャルド展@bunkamura

mainvisual.jpg

18世紀後半から19世紀はじめにかけて、フランスを中心としたヨーロッパでは印象派からアール・ヌーボーなど様々な芸術の動きがあったわけだが、さてロシアはどうだったのか。

この頃のロシアは対外的にがんがん攻めまくってトルコと戦争したり、農奴解放令を出したアレクサンドル2世が暗殺されるも、シベリア鉄道などが建設されて工業が発達した。1900年代に入るとロシア革命(1917)が始まるいわば激動の時期。1930年代後半からはスターリンが台頭し粛清が行われ、音楽家のショスタコーヴィチは何度も反体制的な音楽を書いたと叱られたりした頃。当然その頃には抽象絵画も「社会主義リアリズム」に反しているという理由で下火になります。その直前に華開いたロシア・アバンギャルド。

マレーヴィチという作者の名前に心当たりはなかったのだけど、「黒の正方形」を見て学生時代に漠然とひもといていた『現代美術入門』に出てきて驚いた作者だと気づいた。黒べた塗りにしただけで芸術とはすげー、と驚いたものです。しかし、それよりもうちょっと前の時期に描かれている、ロシア・アバンギャルドの特徴だとわたしが勝手に解釈している原色から光の当たる部分が白へと変わるグラデーションがくっきり際だった絵画の方が印象的でした。そこにロシアの独特な文字が加わるといかにも共産主義。しかし、今回メッセージ性の強いポスターはほとんどなかった。

また、「百万本のバラ」の題材になったニコ・ピロスマニも記憶に残った。彼の場合、精緻な技法というのではなく、対象そのものだけを素朴であたたかみのある視点で描いているが、当時は幼稚だと退けられてしまったらしい。案外サイズの大きい絵が多く、解説では絵を描くことが楽しみだったということで、なんだか泣けた。映画もあるそうなのでぜひ見てみたい。

行く前は工業化と共産主義が推し進められるロシアの都会を煽るような絵が多いのかと思っていましたが、蓋を開けると当然のことながら、別に画一化された絵ばかりではなく、ロシアの広い大地を感じさせるおおらかな絵が多かったように思います。ちまちまと読み続けているトルストイの作品と同じ時期ということもあり、ロシアの芸術がおぼろげながらつながって見えてきたように思いました。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.uporeke.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/258