カート・ヴォネガット『国のない男』(NHK出版)
日本放送出版協会 (2007/07/25)
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非常にすぐれた作家であり人の気持ちを奮い立たせるアジテーターのカート・ヴォネガットが亡くなってからもう1年がたとうとしている。「去年の暮れだっけ?」なんて思っていたらもう1年。本書は彼の最後の書籍として、SFファンならずとも2008年3月9日に生きて、これからも生きる人ならば全員読むべき一冊です。
本書ではアメリカの国民に向かってアメリカがいかに悪いことをしているか声を荒げて語りかける。何も悪いことをしていないイラクの人たちを殺し尽くすまで戦争を続けるのか? そもそも今のアメリカは何を犠牲にして成り立ってる? これはまるっきりとまではいかないまでも、日本に住む人にも通じる過去だ。何かを誰かを犠牲にして今の自分がこうしてパソコンに向かっていられるのはまちがいない。もちろん、わたし自身も何かを犠牲にはしているわけだが、犠牲にしたものを平らにしたらきっとわたしの上にはたくさんの犠牲が積み重ねられて、本を読んだりCDを聴いたりなんてことはできないにちがいない。そのへんのことはhttp://www.globalrichlist.com/を見ると実感できる。自分が世界で何番目に金持ちかが分かるサイトで、何度か実験してみるとどうも世界の平均年収は10万円くらいらしい。もちろん、自給自足で金はそれほど必要ない、という人もたくさんいるだろうし、そもそもこのサイト自体が信用できるかどうか分からない。でも日本やアメリカが先進国でお金をたくさん持っている人が多いというのは事実で、それは誰かの給料を安く抑えているからできることなのだ。
最後に孫引きとしてユージン・デブス大統領候補の言葉を。
下層階級がある限り、わたしはそのうちのひとりだ。
犯罪者がいる限り、わたしはそのうちのひとりだ。
刑務所にひとりでもだれかが入っている限り、わたしは自由ではない。


