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2007年09月 アーカイブ

2007年09月01日

おかいもの

2000ワッツ
2000ワッツ
posted with amazlet on 07.09.01
タイリース スヌープ・ドッグ
BMG JAPAN (2001/05/30)
売り上げランキング: 200395

TyreseはモデルもやってるR&Bシンガー。声のスムースさと曲のポップさで前から注目していて、このアルバムだけ持ってなかったのをとうとう入手。Hip Hop色が濃いめですが、甘さと元気が詰まっています。

The ジョン・レノン Collection
ジョン・レノン
EMIミュージック・ジャパン (2002/03/27)
売り上げランキング: 194533

今じゃこんなアルバムが500円。すごい時代になったものです。言うまでもなくジョン・レノンのベスト版。Imagineってもう36年前の曲なんだと知って驚愕。

We Sold Our Soul for Rock 'n' Roll
Black Sabbath
Warner Bros. (1990/10/25)
売り上げランキング: 33090

こちらもベスト盤。Black SabbathはParanoidなど教養的に聴いたけどぴんとこないままだったので、聴き直してみる。昔はもっとずんずん重さばかりというイメージ(Cathedralなんかを好んでいたので)だったが、今ではリフの重さやメロディにおもしろさを感じます。

INOCENCIA
INOCENCIA
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上松美香
キングレコード (2000/06/07)
売り上げランキング: 571

ハープの音の多さは窮屈さを感じて苦手。でも今年は苦手と思っているものにつきあって自分解析の糧としたいと思って購入。いわゆる西欧のクラシックとはちがい、ラテンアメリカの楽曲が多いことと、ハープがピンなのでいわゆるストリングスオーケーストラの重厚さがないために、とても聴きやすく遊び心を感じる。ハープとは思えないようなミュートを使ったりおもしろい。

日経マネー 2007年 10月号 [雑誌]

日経ホーム出版社 (2007/08/21)

こちらは新刊で。やっぱり世の中ゼニですよねー。

2007年09月02日

川又千秋『幻詩狩り』(中公文庫)

幻詩狩り (創元SF文庫 か 1-1)
川又 千秋
東京創元社 (2007/05)
売り上げランキング: 112822

これだけ分かりやすいシュルレアリズム関連本はないだろう。

舞台は日本で警察が尾行する場面から始まる。ご禁制の品を殲滅するのが警察の目的だ。その品は、20世紀中盤のフランス、ニューヨークに遡る。アンドレ・ブルトンが謎の青年フー・メイから詩集を託される。どうせそのへんの馬の骨の駄作とあなどってかかるが、そこにはタイトル通りの「異界」が現前した。フー・メイが遺した作品は3作、どれもこれもただの文学ではおさまりきれない超常現象を読者に経験させるが、なかでも最後の「時の黄金」は読んだ者の時間を歪めてしまい、人々は次々と正気をなくしていく。

キャラクターの設定が明確で、ブルトンは神経質だが頑固、デュシャンは高慢と分かりやすい。それが時としてジュブナイルの方向に傾き、幼稚ぽさを醸し出すこともあるのが、個人的には日本SFを手に取らない一番の理由。先に待ち受けているイベントがどういうものかうっすらと読み取れてしまい、そうなったらもう本に時間をかける必要性を感じなくなってしまう。時々そういう本に出会うとそのジャンル自体から離れてしまうのだが、本書のような大当たりがあるからSFを読むのはやめられない。

作品内では現実側の人間からの視線で書かれているため、「時の黄金」を読んで超越した人々の内面には触れられていない。読んだ人々の内面にも触れられたら一層の迫力が出ただろう。しかし、そこで敢えて触れていないことで、「時の黄金」を経験していない読者への説得力が出ていると感じた。すぱっと切り捨てたところに潔さを感じるし、それがリーダビリティをキープできた要因だろう。

ホラーにまごうような書物の存在が怖いし、ドラッグに憧れるように手に取りたい願望が自分のうちにあることも否定できない。人間の欲望の根源をかいま見たように思います。わたしにとっての「異界」はダンセイニ卿の傑作短編集で、一度手にとったら1週間くらいはぼんやりしてしまうので、最近は敢えて読んでいない。言葉が人間にはたらきかける想像力の強さをしみじみ噛み締めた一冊でした。

松井今朝子『吉原手引草』(講談社)

吉原手引草
吉原手引草
posted with amazlet on 07.09.02
松井 今朝子
幻冬舎 (2007/03)
売り上げランキング: 248

吉原でも稀に見る才色兼備のお職葛城がとある大事件を起こした。その詳細を関係者に聞き取っていきながら全貌をあらわにする、二人称で書かれた吉原案内書。

落語と杉浦日向子で一通り吉原がどんなところか齧っているわたしでも、あまりにも丁寧な説明を登場人物が語りに語るところは、少々辟易した。吉原を知らない聞き手という設定にしたって、まるで歴史の授業のように一から十まで丁寧に説明してくれる登場人物たちには、不自然さを感じるしかない。まして江戸のようにツーカーの息(粋)を重視する社会において、ここまで人々が詳細に語りつぐというのは野暮ではないか。

もちろん平成の世に暮らすわたしたちにとって、江戸はすでにノスタルジアを通り越した大過去になる。当時のベストセラーである戯作ですら、読み解くには単に語学だけでなく、当時の風俗までも意識的に勉強しなければ理解には及ばない。岩波文庫で出ている江戸時代の読み物には多大な注釈が付き、おいそれと手を伸ばせるものではない。

そう考えると人物たちの会話の半分が江戸知識のおさらいなのは仕方ないのかもしれない。今のわたしたちが本書を手軽に楽しむにはそれだけの情報を注釈以外の形で自然に盛り込まねばならないのだ。

さて、話の方は葛城という神秘的な花魁にまつわる人々の駆け引きを描いているわけだが、花魁というただの売春婦ではない存在について考える機会となり、そのやり取りを楽しんでいた江戸の人々の粋をおもしろいと思った。客は女郎屋に金を払えば「やれる」わけではない。初日は面通しだけで帰り、直後に裏を返し、イベントには大枚を払って盛大に花魁を飾り立ててやる。そこまでしても人気のある花魁だと平気で袖にされてしまうが、それでも「ふられて帰る果報者」なんて笑って許してしまう、江戸の恋の軽やかなやりとりは、おおらかさと細やかさが混在している。実際の恋と同じように時間をかけて馴染んでいく過程を楽しむものなのです。儀式的な要素をふんだんに持った遊びとして、ままごとの延長みたいな趣があったのかも。時間的にも精神的にも余裕のあった江戸の心持ちというのは、忙しさばかりが先に立つ平成のわたしたちにこそ必要であることだなあ、と最後には気持ちよく本を閉じることができました。

でも読書会は江戸講習会で終わりそうな予感がします。はたしていかがなることか、開催は9/15です。詳細はmixiにて。

2007年09月08日

おかいもの

火の誓い (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
河井 寛次郎
講談社 (1996/06)
売り上げランキング: 149554
夕顔 (新潮文庫)
夕顔 (新潮文庫)
posted with amazlet on 07.09.08
白洲 正子
新潮社 (1997/02)
売り上げランキング: 131406
世界の歴史〈17〉アメリカ大陸の明暗 (河出文庫)
今津 晃
河出書房新社 (1990/02)
売り上げランキング: 349929
Ozzmosis (Exp)
Ozzmosis (Exp)
posted with amazlet on 07.09.08
Ozzy Osbourne
Sony (2002/06/25)
売り上げランキング: 265580
モーツァルト:協奏交響曲
クレーメル(ギドン) カシュカシャン(キム) アーノンクール(ニコラウス) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 モーツァルト
ユニバーサルクラシック (2005/12/14)
売り上げランキング: 8760


2007年09月09日

フリオ・コルタサル『海に投げこまれた瓶』(白水社)

海に投げこまれた瓶
海に投げこまれた瓶
posted with amazlet on 07.09.09
フリオ コルタサル 鼓 直 立花 英裕 フリオ・コルタサル
白水社 (1990/01)
売り上げランキング: 1075053

ラテンアメリカ文学にカテゴライズされながら、半生をパリで過ごしたフリオ・コルタサル。もっぱら作品の舞台は街や邸宅など自然から遠いところに置かれているため、ガルシア・マルケスの暑苦しさやカルペンティエールの鬱屈からは遠く、フランスの洗練とアルゼンチンの熱さを持ち合わせている作家。しかしなんといっても彼の特徴はシャイさにあります。

表題作は作家自身がロサンゼルスからロンドンにいる女性に向けて手紙を書いているが、伝達方法は瓶に手紙を詰めてロサンゼルス湾に流すという、80年代青春のようなもの。その方法がシャイ。手紙の内容はやや混乱していて、やがて手紙の相手が映画化する作品の女優とごっちゃになってしまう。ごっちゃになっていることを気づきながらも、書きやめることができず、捨てるに捨てられない手紙は瓶に入れて流されることになるのです。

万年二流だったボクサーが語り手から不思議な力を得て急に勝ち続ける「二度目の遠征」。わたしがコルタサルらしさを感じる明快な語り口でずるずると超自然的な世界観にひきずりこむやり方が出ていて、楽しく読める一編。ラストのセンチメンタルぶりもいかにもシャイ。他の作品も夢のような超自然な環境に、青春の甘酸っぱさを足して、コルタサルにしかできないやわらかだが不吉な光を感じられる作品ばかり。とはいえ、岩波文庫の『悪魔の涎・追い求める男』に比べるとやや切れ味が鈍く、特に最後に収められた日記はコルタサル自身に興味がないとどうでもいいことが多く、長い割には作品としてのおもしろさは薄いため、コルタサルのおもしろさに気づいた人向けの一冊といえましょう。

2007年09月16日

おかいもの

ライヴ・センテンス
ライヴ・センテンス
posted with amazlet on 07.09.16
アルカトラス
ユニバーサルインターナショナル (2002/08/21)
売り上げランキング: 69976

メタル小僧だったわたしの思い出からこれは外せない一枚で、イングウェイのギターに圧倒され、グラハム・ボネットの驚異的な歌唱力にノックアウトされた。「Hiroshima mon amour」の暑苦しさ、そしてなんといっても「Since you've been gone」のかっこよさは10年以上聴いていない最近でもふとした拍子に口ずさんでしまうほど。久しぶりに聴いたらドラムのずんどこ具合がださいが、これはこれで雰囲気に合っているのかも。

マーラー : 交響曲第6番イ短調 「悲劇的」
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 マーラー ブーレーズ(ピエール)
ユニバーサルクラシック (1995/03/25)
売り上げランキング: 29476

マーチぽい入りがかっこいいマーラーの6番。ブーレーズの指揮は雄大な渓谷を流れ落ちる大量の水を彷彿させる。これはいいおかいもの。

夢宮殿
夢宮殿
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イスマイル カダレ Isma¨il Kadar´e 村上 光彦
東京創元社 (1994/09)
売り上げランキング: 760835

カダレは買い直し。全体主義という言葉から思い起こされるような暗く大きな建造物の中で、組織の一員となり生きた歯車となっていく漠然とした不安感が表現された名作。

2007年09月17日

ヘミングウェイ『老人と海』(新潮文庫)

老人と海
老人と海
posted with amazlet on 07.09.17
ヘミングウェイ 福田 恒存
新潮社 (1966/06)
売り上げランキング: 5501

恥ずかしながら初のヘミングウェイ体験。今は微妙に幻想文学の倦怠感よりもアクティブな作品を求めていたので。まさに今もとめている気分にぴったりを通り越して、作品の切れ味と芯の強さに存分に圧倒されました。

あらすじを書くのもおこがましいほどですが、すでに引退寸前となった老人とその知識に純粋に尊敬を払う少年との対話から物語は始まり、やがて老人が沖の方まで出て行ったときに、それまで80日以上当たりがなかった釣り針にこれまでにない重みがかかり、老人の最後になるかもしれない格闘を読者は追うことになる。

全体に老人の主観を逐一追っていくスタイルで、単に大自然を雄大に描くというのではなく、そこには老人が持つ海の知恵、漁師としての経験があるからこそ浮かび上がる感覚が描かれる。読者という安全な位置にありながらも、老人が漕ぎ出す大海原に不思議な愛着すら感じられ、まるで自分がいつも漁に出ているかのような自信すら覚えてしまう。その共感は主人公が老人、それも85日間も釣れていないロートルの無力感があるからこそ。これが同じ海への経験がない子供の漁師だったら、同じ挫折した展開でも未来を感じ経験の一こまとして終わってしまうだろう。読者が海への知識がなければないほどに、老人の知識の頼もしさに感銘を受けつつも、自らと同じ無力感を分かち合ってしまうのではないか。

そして『白鯨』でも感じた海の男が持つ魚への奇妙な愛情がここにも見られる。獲物として捕獲することを望みつつも、獲物が大きければ大きいほど殺すことに躊躇いを感じ、友情とも言える感情を通じ合わせようとする。魚は食うこと以外にあまり興味がないがヤマネコたちに大いなるシンパシーを感じるわたしにとって、彼らが魚に友情を抱くことはまったく不自然でなくささやかな部分だが理解できるように思われます。良いボクシングを見た後のような爽快感と、人生の冬を迎えようとする一人の漁師への共感と、まるで自分が船に乗って漕ぎい出しているようなきめ細かい描写があいまって、世評の高さを実感することができました。しばらくは幻想文学やSFから離れて、いわゆる海外の古典に手を伸ばそうと改めて思いました。

2007年09月22日

ルイス・セプルベダ『パタゴニア・エキスプレス』(国書刊行会)

パタゴニア・エキスプレス (文学の冒険シリーズ)
ルイス セプルベダ Luis Sepulveda 安藤 哲行
国書刊行会 (1997/12)
売り上げランキング: 263654

Moleskineを元に書かれた私小説ぽい冒険譚。

著者自身がほぼ語り手とみなしてよさそうな印象だが、社会主義にはまって投獄されていじめぬかれ、出獄してからはヨーロッパでライターになるため奔走するが、なぜかエクアドルで年増の家庭教師になったりアルゼンチンに出戻ったりと紆余曲折を経てスペインにたどり着くまでの物語。

Moleskineにとったメモを元に物語を紡ぎ出していくスタイルを、著者は同じ旅行仲間のブルース・チャトウィンに習ったという。そのへんの話は本家サイトにも書かれていますが、本書ではより詳細に物語られています。

ブルースがまさしくこの旅のためにプレゼントしてくれた方眼紙のノートにメモをとっている。それもただのノートではない。セリーヌやヘミングウエー(原文ママ)といった作家たちが大事にし、いまはもう文房具店にはない正真正銘モルスキンの逸品。使うまえにわたしみたいにするんだ、とブルースはそれとなく勧めた。まず、ページに番号をつける、次に表紙裏に最低二つの連絡先を記す、そして最後に、失くしたときのために、このノートを上記宛送ってくださった方にはお礼をしますと書く。それはあまりにもイギリス的だね、とぼくが言うと、ブルースは応えた。まさしくそうした類の予防策のおかげでイギリス人はイギリスが帝国であるという夢を持ちつづけている。

人間の記憶量に限界がない人もいようが(ちょうど次に読んでいる『ヘミングウェイごっこ』のイギリス人がそうだ)、わたしはからっきしだ。高校の英語の参考書でとても頭がよいがとんでもなく記憶力がわるい学者の話があったが、それを笑えないほどわたしの記憶のプールは浅い。だとしたら記憶については外部装置にある程度頼るしかないんじゃないか、と思ってこの夏からはかなり頻繁にメモをとるようにしています。Moleskineに。おかげで酔っぱらったときでもお酒の銘柄を覚えていられるようになったのでした。

さて、本書の売りはなんといってもメモをとられた現実(かもしれない)の挿話の小粋さ。パタゴニア嘘つき選手権では感動的な嘘がつかれ、クレイジーな飛行機乗りは小さな砂浜に不時着してすかさず飛び上がり、イルカと少年の悲しい物語に涙する。まとまった小説としてはやや構成が弱いが、著者が旅した南アメリカそのものがどさっとつきだされる。パタゴニアの乾いた大地でたっぷりの栄養をたくわえたMoleskineが食卓に出されるのだから、読者は塩も砂糖も醤油もつけず、とれたての『パタゴニア・エクスプレス』にただかぶりつけばよい。異色揃いの「文学の冒険」シリーズとしてはさらに一ひねりしてシンプルに戻った本書は、ふつうの文学好き(それこそヘミングウェイとか)にとってもおすすめの一冊。新潮あたりで文庫化すれば堅実に売れそうです。

2007年09月30日

Apple iPod touch 8GB

Apple iPod touch 8GB MA623J/A
Apple iPod touch 8GB MA623J/A
posted with amazlet on 07.09.30
アップルコンピュータ (2007/09/25)
売り上げランキング: 39

発表日の朝5時に予約したおかげで、無事発売日に届いて1週間。MacBookユーザーなので障害もなく楽しく使えております。わたしはどちらかというと手が小さい方なので、案外大きく感じましたが、それでも携帯電話よりも薄く軽いというのはとても持ち運びに便利。おそらくアメリカ人の手ではわたしたちが携帯電話を使うような感覚の大きさなのではないでしょうか。

USB2.0使用とはいえ、転送速度がかなり遅いのは改善してほしいところ。8GB程度で10分以上かかるので、思いついたらすぐにデータを取り替えるという当初の計画があまりスムースに達成できていません。今後ソフトウェアアップデートでの改善を期待しています。

フラッシュメモリなのでまったく音飛びがないのもうれしい。軽く走ってみましたがちっとも音飛びしないし、噂によると今までのiPodの中でも音質が良いとか。わたしはiPod所有が初めてなのでその真実は分かりませんが、AKGのA14が音割れしてしまうほど出力は大きいみたいです。印象としてはやはり低音が若干強いか。

Podcastを見聞きする習慣がつきそうなのはわたしの英語学習において大きな転換になりそうです。ABCのPodcastはテレビとほぼ変わらない画質で当日のニュースを30分ほど配信しているので、通勤途中に見るにはうってつけ。さらにGetter 1iSquintを使うとYouTubeの画像も簡単に保存できるしあわせもの。

これを買ってからタワーレコードに行ったのですが、CDで買うと得する値段のものやCDでしか出ていないもの、新譜情報などの取得のためにレコード屋を利用することは欠かせませんが、いわゆるヒットしているアイテムを購入するという点においてはiTunes Storeを使った方が時間の節約になるのは否めません。わざわざ大きな店舗まで出向いて、駅から歩いて、自分の目指すフロアまでエスカレーターを上って、欲しいものを探すというのは当たり前のようでいて実はもう昔の常識になっているのかもしれません。おそるべし21世紀。

ジョー・ホールドマン『ヘミングウェイごっこ』(福武書店)

ヘミングウェイごっこ
ジョー ホールドマン 大森 望
福武書店 (1991/09)
売り上げランキング: 405518

Moleskineを買ってからというもの、より記憶に残る使い方を求めて過去にMoleskineを使っていた偉人たちがどのように使っていたのかを知りたく思い、彼らの著作をふつうの小説を読むのとはちがった視点で読んでいます。今回は真打ちヘミングウェイ、の失われた初期の贋作を作って大もうけしようと企む詐欺師と、彼につきまとわれるヘミングウェイ研究家の話。これが意外にもすごいSFに化けるところがすごい。

単に贋作を作るだけなら同じタイプライター(年代物は同じものが見つけにくい)に同じ紙で古めかしくするだけで外見は整う。問題の本文はこのヘミングウェイ研究家が絶対の記憶力をもって同様の文章を生み出すという仕掛け。ようやく見つけたタイプライターを買おうとした時、現れたのは果たして……。

ジョー・ホールドマンというとまずやってくるのは『終わりなき戦い』のマッチョな戦争SFですが、実は相当のヘミングウェイ愛好家でもあるという。ヘミングウェイの描写一点張りで人物の内面はそこからにじみ出てくるだけを読み取ればいい、という潔い姿勢をSFで受け継ごうとすると戦争物になってしまうのは仕方ないのかもしれません。そんな作家がヘミングウェイとSFを結びつけたいと考えて編み出したのはこんな直接的なテーマだというのがおもしろい。

本書のラストについてはぜひ読書会で語りたい。SF的な発想の飛躍があって理解が難しかったです。しかし、それを差し引いても天才的な贋作が世界の根本を変えるかもしれないと想像することの楽しさを感じられる佳作です。これは是非復刊してほしい。

About 2007年09月

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