バス男
もし自分にコンプレックスがあったり、何かうまくいかないことがあったり、彼氏や彼女や旦那や奥さんとけんかしちゃったときは、迷わずこれを見るべし。なんてったって、税抜きなら1000円以下! 人たるもの迷わず買うべし。
舞台はおそらくアメリカ中部あたり。まるでだめ夫(ナポレオン・ダイナマイト(本名))がいろいろしでかしているうちにメキシコ人の転校生と仲良くなり、なぜかそいつが生徒会に立候補したのでその応援をする。
ナポレオン・ダイナマイト。名前からしてネタ臭がただよいます。ライオンとタイガーのあいのこ「ライガー」を描いたり、自転車でずっこけたり、バスからものを投げたりする、とにかくダメな子。彼が暮らすアメリカの田舎は車がないと生活できず、免許がない人はバスや自転車で移動しなければならない。そういう環境は自分の実家と共通するので、ちょっとしんみりしちゃいました。あんまり裕福な家はなく、地場産業だけで細々と暮らす地域というのはNYやLAのような派手な物語は生まれないかもれない。でも、その分、わたしを含め田舎で育った人ほど共感できるのだと思います。
ナポレオンのお兄ちゃんは30過ぎて引きこもり。毎日のチャットで遠く離れた女子とトークするだけの毎日。たまに色気を出して護身術教室に通ったりするも無惨な結果に。そこに学生時代フットボールをやっていた体育会系マッチョ叔父さんがやってきて営業の仕事をさせる。ボウルを売ったり、メイクデカパイハーブを売りつけたり、いんちきくさい仕事です。このお兄ちゃんもよかった。額が広くて神経質そうなのにぼんやりしているところは、自分で鏡を見ているようでしたよ。
劇中で、シンディ・ローパーやジャミロクワイがかかるところが、実にダサい。21世紀の高校生ってもうちょっと新しい音楽聞いてるんじゃないの? だが、それがいい。特にわたしのような80'sポップに思い入れがあると、ふとしたはずみで「Time after time」がかかるだけで特別な時間になってしまう。iTunesに入っていても全く聞きませんが、偶然耳にすると「何かこれからキラキラしたことが起きるぞ」という期待感が育まれる。ダサいことこそすばらしいというDasaconイズムを思い出しました。
ふざけたタイトルとしまりのないジャケット、あまりにも安すぎる値段からは全編ぐだぐだの映画に思えますが、90分という短めの時間できちんと終わらせ、全編ダサさで押し切ったスタイルはなかなか新しいしおもしろい。必見でございます。







